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2010年10月1日金曜日

ファンドレイジング道場

非営利組織(NPO)の寄附・助成等を獲得するための資金調達ノウハウについて、日・米・インドネシアでの筆者の経験や取材結果を掲載します。自らを鍛え上げる場であるという意味で、「道場」という言葉を使っています。皆さんのご参加をお待ちしています。




鵜尾 雅隆  UO MASATAKA
株式会社ファンドレックス 代表取締役
JICAを経て2008年6月、株式会社ファンドレックスを創設。91年以降、様々な国際協力NGOの理事、運営委員などとして非営利組織の運営・創設にかかわり資金調達経験の他、02年NPO向けのファンドレイジング専門団体である、米国にあるCommuinity Sharesで企業顧客の開拓担当者として勤務。99年中小企業診断士(商業)取得。外務省経済協力局、JICAインドネシア勤務を経て、2004年、米国ケース大学Mandel Center for Nonprofit Organizationsにて非営利組織管理修士取得。同年、インディアナ大学The Fundraising Schoolにて、Certificate on Fundraising Managementを日本人で初めて取得。06年日本帰国後、「ファンドレイジング道場」を立ち上げ、ファンドレイジングノウハウや寄付事情の各国比較などを発信している他、寄付やファンドレイジングについての講演、全国各地での研修、個々のNPO向けのファンドレイジング改善や戦略策定のコンサルティングなどを行っている。
「ファンドレイジングが社会を変える」(三一書房)より近日刊行予定。


やり手のようだ

寄付金の考え1

少年野球で春に大会に出場することになったので、広く寄付金を集めたいと思うがどうやったら集まるでしょう?」と知り合いが訪ねてきました。

なぜ、私に聞いてきたのか?というと、昔 私達も寄付金を集めたことがあるからである。

日頃から、少年野球に興味があったり、父兄や先輩OBなど関係が多少ある人ならある程度の金は集めることができるが、関係の薄い地域住民から、広く集めようと思う場合、特に、飛び込みの寄付金依頼というのは困難である。

特に、顔見知りでない人への訪問の場合、「なんか面倒だな」と思われると、最初から聴く耳を持たないのが判る。話にうなずくけれども、「どうやって断るか?」ばかりを考えているのが判る。
また近所だと、あまり強引に依頼すると、金は集まるけれども、後で批判も出てくるかも知れないという危惧もある。

さて、そのときの経験で、近所の関係を気まずくさせず、強引に寄付を依頼できる方法を私達は研究し、少なからず会得したのであります。
その方法は極めてシンプル。

「一円でもいいからお願いします~。」

が殺し文句である。

決して 「少しでもいいから寄付してもらえませんか~?」とは言わない。

アメリカで行われた心理学の研究で、癌協会から来たと名乗る男女二人組が家庭訪問し、寄付金を頼むという実験結果がある。

頼み方には二通りあり、
A:「いくらか寄付して頂けませんか?」
B:「1セントでもいいから寄付してください」
で、それぞれ42軒回った。

結果は、Bの頼み方のほうが倍近く集金できた。
内訳は、Aが12軒から寄付を集め、一軒の平均寄付金は、1ドル55セントであった。
Bは、21軒から寄付を集め、一軒の平均寄付金は1ドル44セントであった。

一軒あたりの寄付金の額に差は無く、応じてくれた軒数が増えたという結果である。

そこで、「平均1ドル強」の結果を鑑み、今度は、Bを「1ドルでもいいから寄付してください」にしてみた。
1セントからの値上げである。

なんと結果は、募金の金額は半減したということである。

この実験で判ることは、人に何かを頼む時は、まず最初に相手の心理的抵抗を解除するか?の重要性を示している事である。
実際に1円では何もできない。しかし、寄付依頼の場合、1円でいいから!という漫画的な額を具体的に出すということにより、「え!そんな安くてもいいのなら面倒だから払っちまおう」と心理的抵抗が解除されるのである。
心理的抵抗を解除出来てのみ、「この位ならいいかな?」と初めて依頼に対して前向きに考えてくれるのである。

最初の心理的抵抗をいかに解除するか?が決め手である。

私達は、この方法で、地域の家を片っ端から訪問し、必要金額以上の寄付金を集めることに成功したのであります。

注意: かなり悪知恵っぽい内容ですが、逆に気の弱い人は、敵の手の内を知って寄付金を断る参考にもして欲しい。