「ファンドレイジングが社会を変える」(三一書房)より近日刊行予定。
2010年10月1日金曜日
ファンドレイジング道場
「ファンドレイジングが社会を変える」(三一書房)より近日刊行予定。
日米寄付金の違い
子供に話すお金の話
第13回:日本の寄付金がアメリカの100分の1の理由は?
「寄付」というと、みなさんは何を想像するでしょうか。寄付とは、自発的に、金銭や財産を団体や施設などに無償であげることを指します。たとえば、大地震が起きたときには「義援金」という形でテレビや新聞などを通じて寄付を募集します。また、毎年10月から12月の年末にかけて、赤い羽根の共同募金の活動が全国で行われますが、これも全国の国民から寄付を集めます。そこで今回は、「お金を寄付する」ということについて考えてみたいと思います。
アメリカと日本では「寄付」の額にはこれだけの差がある
地震などの災害に対する義援金や、赤い羽根の共同募金のように、日本では広く寄付を集める活動が行われています。しかしながら、実はアメリカと比較すると、寄付で集まるお金の総額は、とても少ないのが現状です。政府(内閣府:税制調査会)の資料によりますと、アメリカでは2002年の個人が寄付をした総額は22兆9千億円にも上るのに対し、日本では2189億円と、実に100倍以上の大きな開きがあります。
(2002年)
| 日本 | アメリカ | |
|---|---|---|
| 個人 | 2,189億円 | 22兆9,920億円 |
| 法人 | 5,092億円 | 1兆5,255億円 |
| 合計 | 7,281億円 | 24兆5、174億円 |
出所:平成17年内閣府税制調査会資料
ここ数年のニュースでも、マイクロソフトのビルゲイツ氏や投資家のウォーレンバフェット氏が数兆円規模のお金を寄付すると発表して、世界中を驚かせました。アメリカでは、昔からカーネギーやロックフェラーなどの大資産家が寄付を行っており、現在でもゲイツ氏やバフェット氏に限らず、1年間の所得が10万ドル(約1100万円)以上のお金持ちの人は約9割の人が寄付をしています。また高所得者だけでなく、低所得の人も含め一般の庶民が地元の教会やNPO活動へ多額の寄付をしていることからも、アメリカ人にとって寄付は日常生活の中で決して特別なことではありません。それに対して、日本では1年間の所得が5,000万円以上の人でも1割程度しか寄付をする人がいないのが現状であり、それよりも所得の低い日本人は、寄付をする人の割合がさらに少ないという状況なのです。では、いったいなぜ、日本とアメリカでこんなに大きな差があるのでしょうか。
これには大きく分けて「文化の違い」と「税金の制度の違い」の2つの理由が考えられます。まず文化の違いについてお話ししますと、アメリカでは「お金を持っている人が、貧しい人に分け与えるべきである」というキリスト教の考え方による影響が大きいといわれています。キリスト教では多くの教会の人たちが自分の稼いだお金のうちの1/10を献金しており、これは旧約聖書の中に書かれている律法で定められていたことに由来しています。ちなみにキリスト教徒の多い韓国でもアメリカと同様、俳優のぺ・ヨンジュンさんをはじめとして多くの芸能人が寄付を行っているという話は有名です。
次に、税金の制度の違いについてお話しします。アメリカでは寄付をたくさんした人は、支払う税金の一部を免除してくれます。それに対して、日本では寄付をしても、税金を免除してもらえるための基準がとても厳しく、なかなか免除を認められないという事情があるのです。例えばアメリカ合衆国では、自治体や学校のほかに宗教や科学、それに絵画や音楽といった芸術分野など、幅広い団体への寄付が認められています。しかし、日本では個人が寄付として認められるのは、都道府県や市などの地方自治体、学校やごく一部のNPO法人などの狭い範囲に限られています。また、国が定めた団体に寄付をしようとしても、日本の税金の制度上、免除を受けることができないケースもあります。
例えば、日本ではかつてこのようなことがありました。2003年にソニーの元会長である大賀典雄氏がソニーの会長を辞めるときに、16億円の退職金を長野県軽井沢町に寄付しようとしたことがありました。しかし税制上の制約から、結局4億円もの税金がかかってしまい、税金分を差し引いた12億円しか寄付ができなくなってしまったということがありました。これは退職金として受取る場合は税金を支払わなければならない決まりとなっているからなのです。もともと日本の国が“退職金を寄付する”という人を想定しなかったために起きたことですが、日本ではお金を持っている人が寄付をしようとしても、まだまだ制度が整っていないという現状があるのです。
日本はなぜこんなに寄付に厳しいの?
では、なぜこのように日本は寄付に対して厳しいのでしょうか。ます、この疑問に答えるために、まず税金の役割についてお話をしたいと思います。みなさんは、税金の重要な役割の一つに「貧富の差を小さくする」ということがあるのをご存知でしょうか
お金持ちの人からよりたくさんの税金を取り、それを貧しい人やお金の必要な人の生活に役立てられるようその税金を使うことにより、貧富の差を小さくするという働きがあるのです。これを経済用語では「所得の再分配」といいます。
日本では、貧富の差が広がらないようにするために、所得の再分配は「国」が中心となって行ってきました。例えば、お給料をたくさんもらっている人からより多くの税金を集め、そしてお金を必要としている人や学校などの団体には、国が税金で集めたお金を分け与えていました。つまり、どこにお金をどこから集めるか、そしてどこに分け与えるかについてまで、ほとんどすべて国が決めてきたという歴史があります。これは、あまり日本では寄付が多くなかったからという理由もあるのですが、そもそも寄付を無制限に認めてしまうと、自分が設立した団体や知り合いの団体などに寄付をして税金を少なくしようとする、いわゆる脱税に利用されてしまう可能性があるため、国が寄付について厳しい基準を設けて、お金を集める方法から分配する先まで国で一元的に行おうとしてきたからなのです。
それに対してアメリカでは先ほどもお話したとおり、昔から個人が寄付をすることは特別なことではなく、多くの団体に一般市民が寄付を行う文化が根付いていたため、国が中心となってお金を分け与える必要があまりなかったのです。つまり、所得の再分配は個人の寄付の役割が大きくアメリカ政府は日本ほど積極的に援助する必要がないため、むしろ寄付する人たちに対して、税金を安くしてあげることで寄付をしやすいように支援をしてきたのです。
日本のやり方とアメリカのやり方とで、どちらが良いかということは一概には言えません。日本のやり方のように、国がまとめて税金を集め、不公平がないように国が一定の基準でお金が必要なところに分配するという考え方は一理あります。しかし、これには欠点もあります。それは、例えば私が「この人に援助してあげたい」と思っても、国を通して「間接的に」寄付する形になるので、寄付する方も寄付される方も実感がわきません。それどころか、その団体にお金が払われているのかどうか、額がいくらぐらいなのかでさえ調べることも難しいのが現状です。これではせっかく寄付して世の中に貢献しようと思っている人も実感がないため、「それだったらいいや」ということで寄付そのものをやめてしまうことにもなりかねません。これはとてももったいないことです。そのため、最近では国がいったん税金として預かってから配分するよりは、個人や会社が直接寄付する方が効率的ではないか、という議論もなされています。
寄付をしやすい環境を日本にも
では、日本で寄付をする人を増やすためにはどうすればよいのでしょうか。
現在でも日本では寄付をする人はたくさんいます。例えばプロ野球・ソフトバンクホークスの和田選手は、「投球する度に1球につき10本、勝ったときは倍の20本のワクチンを贈る」という約束でワクチン支援を行っており、2005年、2006年の2年間で10万本以上のワクチンを寄付しています。また阪神の赤星選手は、毎年、盗塁数の数だけ車いすを寄付しています。このほかにも芸能人では黒柳徹子さんが「トット基金」を、宮城まり子さんは「ねむの木学園」を設立するなど、有名人の中にも熱心に寄付をする人は多いのです。しかし、アメリカ合衆国では1000万円以上収入がある人の9割が、そして一般の人でも3割以上の人が寄付をしているのに対し、日本では5000万円以上収入のある人でも約1割、一般の人に至ってはごく少数であることを考えると、まだまだアメリカに遠く及びません。
文化の違いなどもあるため、なかなかアメリカほどは増えないとしても、多くの人が喜んで寄付ができるように税金の制度を変えることができれば、もっとたくさんの人が寄付をするようになるのではないでしょうか。
寄付金の考え1
利益追求よりも、社会貢献を選んだ若き起業家
利益追求よりも、社会貢献を選んだ若き起業家 (1/3)
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カリフォルニア発の靴メーカー「 [ トムズ・シューズ(TOMS Shoes) ]」の靴は、軽くて、履きやすく、キュートなデザイン。色・柄も豊富でお手軽な普段履きとして、サーファーや芸能人に人気だ。でもトムズ・シューズの最大の売りは、デザインでも、お手頃の価格でもなく、「One for One = 1足売った分、1足寄付」をするという独自のビジネスモデルにある。
*** 子どもたちが裸足で歩く姿を見て、靴メーカーを起業 ***
トムズ・シューズのCEO(最高経営責任者)にして自らを「CSG = Chief Shoe Giver(最高靴寄贈者)」と名乗る創業者のブレイク・マイコスキーさん(34歳)は、大学在学中の19歳の時に宅配集配のクリーニング店を始めたのを皮切りに、その後広告代理店など12年間で5つの会社を起こした若き起業家として注目されていた人物だ。
マイコスキーさんにとってトムズ・シューズを創業する「種」となった出来事は、2002年に3大ネットワークテレビの1つCBSで放送されていた視聴者参加型の人気リアリティ番組「アメージングレース・シーズン2」に妹と共に出演したことだ。
「アメージングレース」は、2人1組の参加者が番組から課される試練をクリアしながら世界中を旅して、最も早くゴールしたチームが100万ドルの賞金を獲得できるというもの。マイコスキーさんは残念ながら優勝は逃したものの3位に食い込み、何週間もテレビに登場したことで、「甘いマスクのイケメン起業家」として、ちょっとした有名人になった。
その後、マイコスキーさんは個人旅行で2006年に番組で訪れたアルゼンチンを再訪。旅の終わりの1週間を、ブエノスアイレス郊外のロス・ピラトナスという小さな村でのボランティア活動に充てた。
貧しい村には水道すら整備されておらず、子どもたちが毎日2~3マイルの道を歩いて水汲みに出掛けなければならない。しかも、ほとんどの子どもは靴を持っていない。傷ついた足からはバイ菌が入り、痛みをこらえながら水の入った重たい桶を運ぶ姿は痛々しかった。
マイコスキーさんはその場面を見た瞬間、まるで天命を受けたかのように、「靴を売った分と同じだけの靴を寄付する会社を始めよう」と思いたったのだという。旅を終え米国に戻ると、それまで経営していた会社を売り払い、3人のインターンを雇い、ロサンゼルスの小さなアパートでトムズ・シューズを創業した。
利益追求よりも、社会貢献を選んだ若き起業家 (2/3)
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もともと「人生の前半はお金を稼ぎ、後半はそのお金で社会に貢献するような一生を送りたい」と考えていたという。しかし、継続的に社会貢献活動を行うためには、単なるチャリティーではなく、企業としてきっちりと利益を出しながら、売り上げの拡大が活動の拡大につながるような仕組みを作る必要があると考えた。それがトムズのビジネスモデルだ。
トムズ・シューズの主力商品は、アルゼンチンの農民たちが何百年も愛用している「アルパルガータ」と呼ばれる伝統の靴をベースにしたもの。もともとのアルパルガータはジュート麻の靴底に、甲は粗末なキャンバス地を使った質素なものだが、トムズではラバーソールにポップな色合いの生地を合わせ、欧米のカジュアルファッションにもぴったり合うようなスタイルにアレンジしている。
オーガニックコットンを使ったこだわり素材商品や、ラルフ・ローレンなどの有名ブランド、有名アーティストとのコラボ商品など、魅力的なラインアップを揃えている。今ではデパートの靴売り場として全米でトップのノードストローム(Nordstrom)の売れ筋に名を連ねる。
もちろん、創業当時は「靴のことについて何も知識がなく、何もかもが手探り状態だった」という。「本職の靴デザイナーが見たら、縫い目が靴の前方にきているトムズのデザインは邪道と言われるだろう。でも、1足の代金で寄付する靴の分と会社を運営するための費用を捻出するために考えた、一番安く簡単に生産するためのデザイン。正直、それを理解してくれる人たちに受け入れてもらえればそれで十分」。こうした本来の靴のデザインからは未完成とも思われるデザインが、今では、「トムズらしさ」「トムズのオリジナリティ」として多くの人から支持されるようになっている。
*** 「買う」だけで社会貢献できる仕組みを消費者が評価 ***
「最初の1~2年は友人・知人を頼って、みんなを拝み倒して靴を買ってもらっていた」という。そんな状況でも、くじけることもなく続けられたのは、アルゼンチンで出会った学校に行かれない子供たちのために何かしたいという強い思いと、「Shoes for tomorrow(明日のための靴)」という企業哲学が明確だったからだ。ちなみに、TOMSのブランド名は、<Tomorrow>から取った。
利益追求よりも、社会貢献を選んだ若き起業家 (3/3)
2007年にはスミソニアン協会のクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館が贈る「People's Design Award」を受賞。2009年には国務長官賞も受賞した。
トムズの靴は、当初はアルゼンチンのみで生産していたが、今では中国、エチオピアにも工場を作った。最近では、創業当初から販売しているアルパルガータの他、トレンドを意識したデザインやブーツなどのコレクションも取り扱う余裕が出てきた。またTシャツや帽子などにも手を広げ、社会貢献活動を拡充する収益基盤は一段と強まりつつある。
トムズ・シューズでは、若き社会起業家の育成にも力を注いでいる。トムズの社会貢献活動やイベントでは、同社の活動に共感する高校生や大学生で組織する「トムズ・キャンパスクラブ(TOMS Campus Club)」に所属する学生がスタッフとして活躍している。キャンパスクラブの入会には審査があり、社会貢献活動に対する高い意識が求められるが、卒業する時には、活動内容を記した公式の「推薦状」を発行する。
また徐々に世界的な運動として育ちつつあるのが、毎年1回実施している「ONE DAY WITHOUT SHOES」=靴を履かずに裸足で1日を過ごすというイベントだ。大学で、地域で、気の合った仲間でイベントへの参加をエントリーし、それぞれのやり方で靴を履かない1日を過ごす。靴のない生活の大変さ、そして靴のありがた味を体験することで、靴を履くことができない貧困地域に思いを馳せ、トムズの活動への理解を深めてもらおうというもの。今年は世界中で1600のイベントが企画され、25万人が参加した。2011年は4月5日に実施予定だ。
現在TOMSは様々なNPOやNGOと協力し合い、アルゼンチンだけでなく、象皮病に苦しむ子供が多いエチオピアなど、25カ国で靴の寄付活動を行っている。しかも、1度靴を送っておしまいにするのではなく、履いている靴が履き潰れてしまったら、また新しい靴を渡せるように、継続的な支援を行っているのが特徴だ。
2010年9月には100万足の寄付を達成し、大きな節目を迎えた。現在マイコスキーさんは、自身の考えや成功する社会起業家たちについてまとめた本を執筆している。たった4年間で世界中を巻き込んだポジティブムーブメントの立役者の今後の活動から目が離せない。
2010年9月29日水曜日
退屈な講義の代わりに、先週私のUCバークレーの学生たちは、かなりいい思いをした。TechCrunchファウンダー、Mike Arringtonとのライブ討論だ。以前私はMikeのことを、Oprah WinfreyとHowerd Sternを足して2で割ったような人物、と評したことがある。だからちょっとした論争を覚悟していた。しかし結果的に彼は大きな火を付け、私は教育とキャリアについて学生たちから質問の集中砲火を欲びることになった。質問はバークレーからだけではなかった。議論の様子がTechCrunchに掲載されると、デューク大学の学生たちから、9月22日の起業家精神シンポジウムのキーノート講演で私にこの話をしてほしいと頼まれた。さらには、他の大学の学生たち、遠くはインド、シンガポールからも、助言を求める質問が届いた。そこで私は、この火を鎮められることを願って、ここで回答することにした。
先週UCバークレーで行われた著名イノベーター連続講義で、Mikeと私はさまざまなテーマについて議論した。大方の主題については意見が一致したが、教育の重要性については例外だった(あと、ハイテク業界における女性の不足については、日を改めて戦う予定)。MBA取得の重要性について書いたTechCrunchの私の記事を話題に出したところ、Arringtonは、なぜ学位を取る必要があるのか、そもそも大学に行く必要があるのか、と疑問を呈した。彼は、大学から落ちこぼれたハイテクCEOたちの成功を大きく取り上げた ― Zuckerberg、Gates、さらには「Larry [Page]とSergey [Brin] らをはじめとする多くの著名なハイテク起業家たち」だ(Mike注:LarryとSergeyは共に学部の学位を持っており、PhDも取得予定)。バークレーのIkhlaq Sindu教授(私は、Mikeの話が終らないうちに彼が壇上に来て取り押さることを恐れていた)が割って入ったのにもかかわらず、Arringtonは自分が大学から学んだものは大してないこと、学生にとって必要なのはバークレーやハーバードの入学資格を得た証明だけであること、大学を中退することはもはや不名誉ではないこと、よって「この世で最高なのは、ハーバードに1年行って中退すること、なぜなら入学できる頭があったことが誰にでもわかるから」などと語った。
Arringtonは学生たちに向かって、修士学位を取って成功の確率を高めようと考えるような人は起業家ではない、と言った。年長の起業家たちには資金を調達できるチャンスがない(だから勝ち目がない)。成功とはビリオン(10億ドル)規模のビジネスを立ち上げて大金を稼ぐこと ― 良いライフスタイルビジネスを構築して生活費を払って幸せになるだけでは十分ではない。だからみんな、小さいことを考えずに大きな目標を向かって「構え-射て-狙え」で行くべきだ。
Arringtonの論理には問題がある。学生がすごいアイディアを思いついて会社を起こすことはできるかもしれないが、大きくするためには教育的基盤がなければならない。恐らくZuckerbergは、良い時に良い場所に居合わせる幸運を得たのだろうが、彼が企業を成長させる知識を持って生まれてきたわけではない。会社を作るためには、経理、マーケティング、知的財産権、会社法などの知識を理解しておく必要がある。ビジネスの世界に入ってしばらくするまで、君たちは契約交渉のやり方や、人との接し方、従業員の管理や育成、そして顧客に売る方法を知らない。さらに重要なのは、自分が始めたことをやり遂げることの大切さを学ばない学生は、成功できないことだ ― それには忍耐力と決断力が必要だ。そして大学を中退すれば、後にキャリアや仕事の上で助けてもらうのに必要な卒業生ネットワークにも入れない。
残酷な現実は、Zuckerberg一人につき、千人の大学中退失敗組がいることだ。その多くが失敗に落胆し、技術や教育の要求の低い他の分野に移っていく。大学によっては、中退して間もない学生を再入学させるところもあるが、殆どの学生は貯金も友人や親戚からの借金も使い果たして、教育に費やす余裕がない。諦めて大企業に入ろうとしても、大企業は一般に学位のない人間を雇わない ― それは、始めたことをやり遂げる自制心のある社員が欲しいからだ。虹を見るたびに船から飛び込む人ではなく。
もう一つ、Facebookを実際に作った人たち ― 会社の役員や従業員たち ― の経歴を見てみると、彼らは大学中退ではない。彼らは高学歴の持ち主である。Facebook、Microsoft、Apple ― いずれも大学中退者が創立し、いずれも採用の選り好みが最も大きい。彼らこそが学位にこだわっている。
私から学生たちへのアドバイスは、教育は、受けられる間はできるだけ受けよ。最低でも学部、可能なら修士の学位を修了すること。ハーバードやスタンフォードなどのエリート校の学位である必要はない。どんな教育も身になる。このグラフ(成功したハイテク企業652社のファウンダーの経歴を分析した結果に基づく)が示すように、学位取得者が設立した企業の規模と収益には大きな違いがある。しかし、アイビーリーグと平均(全スタートアップ)の差はわずかだ。
卒業したら、現場である程度仕事の経験を積み、起業家へと突進する前に、ビジネスの世界の現実を知ることだ。大企業で何年か働き、企業世界のしくみを学び、人的管理、プロジェクト計画、チームワークの能力を上達させる。そしてスタートアップに入る ― たぶん他の多くのスタートアップと同じく失敗するだろう。しかし、人のお金で失敗して、あらゆる価値ある教訓を学ぶことができる。
Mike Arringtonは話の中で、自分が教育から得たものは殆どないと言った。法律学位でなくMBAを取っていればよかった、とも言った。しかし、Mikeが認識していないと思われるのは、彼が弁護士になるために法律学位が必要だったことだ。弁護士時代彼はハイテク業界とその問題について深い知識を得た ― そこから彼のスタートアップが生まれた。そして、この教育によって彼は、非倫理的企業と対決し、非倫理的行為に疑問を持つための知識を身に付けた ― そのすべてが、世界最先端のテクノロジーブログであるTechCrunchを作るのに役立っている。Mikeが大学中退でもTechCrunchを作れたと思う人がいるだろうか。
われわれの議論の中で、Mikeが冗談に、法律を勉強する代わりに中学生の時にギターを習えばよかった ― 「ロックスターになっていたかもしれない」― と言っていた。Mikeに音楽的才能があるかどうか私には全くわからないが、ギタリストがロックスターになる割合は、コンピューター技術者がCEOになる割合よりずっと小さい。
【編集部より:本稿は、起業家出身の学者、Vivek Wadhwaによる寄稿である。同氏は現在UCバークレー客員教授、ハーバード法科大学院上級研究員、およびデューク大学常任理事を務めている。Twitterアカウントは@vwadhwa、研究成果はwww.wadhwa.comで見ることができる】
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(翻訳:Nob Takahashi)
