2010年6月20日日曜日

北欧神話の大悪党ロキ

ロキ


自分が工夫した魚網をもったロキ。18世紀のアイスランドの写本『SÁM 66』より。
ロキ(古ノルド語: Loki)は北欧神話に登場する悪戯好きの神。オーディンの義兄弟。神々の敵であるヨトゥンの血を半分[要出典]引いている。巨人の血を引きながらもオーディンに力が認められ[要出典]てアースガルズに住み、オーディンやトールと共に旅に出ることもあった。男神であるが、時に女性にも変化する[注釈 1]
巨人の王ウートガルザ・ロキおよびその宮殿で相まみえるロギとは別人である。
目次 [非表示]
1 家族
2 北欧神話序盤
3 北欧神話中盤「バルドル殺害後」
4 北欧神話終盤「ラグナロク」
5 ロキの呼称
6 脚注
6.1 注釈
6.2 出典
7 関連項目
8 参考文献
9 外部リンク
家族 [編集]

父 - ファールバウティ[1](「残酷に打つ」の意)
母 - ラウフェイ[1](「葉の島」の意)
妻 - シギュン[1]、アングルボザ[1]
夫 - スヴァジルファリ[2]
兄弟 - ビューレイスト[1]、ヘルブリンディ[1]、義理の兄弟としてオーディン[注釈 2][注釈 3]
子 - アングルボザとの間の子にフェンリル、ヨルムンガンド、ヘル[3]。シギュンとの間の子にナリとナルヴィ[4](『古エッダ』)、またはナリ(別名がナルヴィ)[1]とヴァーリ[5](『スノッリのエッダ』)。スヴァジルファリとの間の子にスレイプニルがいる[2]。
北欧神話序盤 [編集]

巨人出身ながらも、オーディンの義兄弟となり、アースガルズで暮らしている。北欧神話最大のトリックスター[6]あるいはトラブルメーカーであるという説[要出典]もあるが、メフィストフェレス的な悪魔そのものとする説もある[要出典]。
アースガルズに厄介事を持ち込む一方で、オーディンの槍グングニルを始めとしてトールの槌ミョルニル、フレイの船スキーズブラズニル、黄金を生み出す腕輪ドラウプニル等を騙して作らせた(『詩語法』[7])り、小人のアンドヴァリから黄金を奪う(『レギンの言葉』[8]など)して神々を窮地から救い出すなどの役に立つ一面も持つ。最も仲がよいとされるのは雷神トールで、連れ立って巨人の国を冒険している(『ギュルヴィたぶらかし』[9]、『トール讃歌』など)。アングルボザとの間に生まれた3人の子供はどれも怪物の姿だったため、大蛇ヨルムンガルドは海に投げ捨てられた。また狼フェンリルは、のちに妖精が作った紐グレイプニルで縛られた。半身が腐っているヘルは、冥界ヘルヘイムに投げ落とされそこの支配者になった[3]。雌馬に化け、馬のスヴァジルファリとの間に8本脚の馬「スレイプニル」をもうけている[10]。ウートガルズの宮殿ではロギと早食い競争で勝負したが、ロキは彼の前に完敗した。なぜならば、ロギの正体は野火だったからである[9](『ギュルヴィたぶらかし』)。
スルトの妻シンモラが持つ剣、レーヴァテインはロキがニヴルヘイムの門でルーン文字を唱えて作り上げたとされている。
北欧神話中盤「バルドル殺害後」 [編集]



18世紀の写本『NKS 1867 4to』に描かれた、ヘズをそそのかしてバルドルを殺害させたロキ。


拘束されたロキと、毒蛇が垂らす毒を器に受けているシギュン。Christoffer Wilhelm Eckersbergによる。(1810年)
ヘズをそそのかしてバルドルを殺させ、また老婆セック(ソック)に変身してバルドルが甦らないように仕向けた(『ギュルヴィたぶらかし』[11])。神々の宴に乱入し、そのことを明かすとともに、集まっている神々の過去の罪や恥辱を一人ずつ暴きたて巧みに罵倒する(『ロキの口論』[12])。のちに神々に捕らえられ、巨大な岩に息子ナリの腸で縛られて洞穴に幽閉される。そこは蛇の毒液が滴り落ちる場所で、いつもは妻のシギュンが器を持ってそれを防いでいる。しかし、その器がいっぱいになり彼女が捨てに走るとき、一瞬だけ頭に毒液があたり彼は苦痛のあまり大声で叫び身を捩るという。その影響で地上に起きるのが地震であるとされる[13](ロキの捕縛)。
北欧神話終盤「ラグナロク」 [編集]

ラグナロクにおいては戒めがはずれ、巨人族を率いてアース神族を滅ぼすために出陣し、最後はヘイムダルと相打ちになった[14]。
ロキの呼称 [編集]

ロキの呼び名としては以下のものがある。
ずる賢い者
トリックスター
変身者
空を旅する者
狡知の神
女巨人 セック
人々の恐れ
閉じる者
終える者
狼の父[15]
フヴェズルング[16]
大きく成長したもの(ロプト)[15]
ラウフェイの息子[17]
ビューレイストの兄弟[18]、ビューレイプトの兄弟[16]
脚注 [編集]

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注釈 [編集]
^ 『ロキの口論』第23節では、ロキが8年間乳搾り女となって子供ももうけたというエピソードが語られている(『古代北欧歌謡集』83頁)。
^ 同じく『ロキの口論』第9節では、オーディンとロキの2人が血を混ぜたとの会話がある。松谷健二によると、これは義兄弟の契りを交わしたことを指しているという(『エッダ/グレティルのサガ』36、44頁)。また谷口幸男の説明によれば、それは友人同士が血盟を誓う際に体に傷を付けて血を流して足跡に血を流した風習を指しているという(『古代北欧歌謡集』81、87頁)。
^ 同じく『ロキの口論』第16節では、イドゥンがブラギに「ロキとは実子と養子の仲」と呼びかけている。松谷健二は、ここは研究者によって意見の分かれる箇所であるものの、ブラギがオーディンの実子とされていることから、ロキをオーディンの養子としてとりなしたのではないかと考えている(『エッダ/グレティルのサガ』37、45頁)。


リヒャルト・ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』には、ロキに相当する火神ローゲが登場する。画像は、第1日『ワルキューレ』のラスト、ブリュンヒルデの眠る岩山を守る炎となるべくヴォータン(オーディンに相当)の召還に応じて現れたローゲ。アーサー・ラッカムによる。

ウィキメディア・コモンズには、ロキに関連するマルチメディアがあります。
出典 [編集]
^ a b c d e f g 『古代北欧歌謡集』248頁。
^ a b 『古代北欧歌謡集』259頁。
^ a b 『古代北欧歌謡集』248-249頁。
^ 『古代北欧歌謡集』87頁。
^ 『古代北欧歌謡集』274頁。
^ 『北欧神話』213頁。
^ 『「詩語法」訳注』41-43頁。
^ 『古代北欧歌謡集』133-134頁。
^ a b 『古代北欧歌謡集』260-268頁。
^ 『古代北欧歌謡集』250頁。
^ 『古代北欧歌謡集』270-273頁。
^ 『古代北欧歌謡集』80-87頁。
^ 『古代北欧歌謡集』87、274頁。
^ 『古代北欧歌謡集』276頁。
^ a b 『古代北欧歌謡集』81頁。
^ a b 『古代北欧歌謡集』14頁。
^ 『古代北欧歌謡集』85頁。
^ 『古代北欧歌謡集』277頁。
関連項目 [編集]

ロキの口論
ロキの捕縛
ルシフェル
Loki (プログラミング) - 高度なテンプレートメタプログラミング技術を応用した、C++の汎用ライブラリ。
ロキを取り扱った現代の創作
魔探偵ロキ
参考文献 [編集]

「スノリ『エッダ』「詩語法」訳注」『広島大学文学部紀要』第43巻No.特輯号3、谷口幸男訳、1983年。
H.R.エリス・デイヴィッドソン(en)『北欧神話』米原まり子、一井知子訳、青土社、1992年、ISBN 978-4-7917-5191-4。
V.G.ネッケル他編『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、1973年、ISBN 978-4-10-313701-6。
『エッダ/グレティルのサガ』松谷健二訳、筑摩書房〈ちくま文庫〉、1986年、ISBN 978-4-480-02077-2。
外部リンク [編集]

ロキという名の正体。(個人サイト「無限∞空間」)
カテゴリ: 出典を必要とする記事 | 北欧神話の神 | 北欧神話の巨人

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