■PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
PPMとはコンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループが考案した事業ポートフォリオを考えるフレームワークで、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの略です。
PPMでは2つの軸を取り、片方の軸に市場成長率、もう片方の軸に相対マーケットシェアを取って、マトリックスを作り、事業を4つの象限に分類します(下図参照)。
PPMは、規模の経済性が働く事業における事業戦略の方向性を考える上で有効なフレームワークです。(逆に規模の経済性が働からない事業においては、使えないフレームワークとも言えます)
PPMは、プロダクトライフサイクル(PLC)と、経験曲線効果(累積生産量の増加が、製品あたりのコストを下げるという理論)の2つの理論が前提になっている理論です。
●花形事業
「花形事業」では、大きな利益が得られる一方で、多額な設備投資を必要とするため、大きなキャッシュフローは望めません。ここに位置する場合、現在のシェアを維持しながら、成長のための投資を行い、「金のなる木」に育てる必要があります。新製品や「問題児」は、まず花形事業にすることを目的とする必要があります。
●金のなる木
「金のなる木」では、市場成長率が期待できないため、投資を必要最小限に抑えて、キャッシュを回収し、他の事業を「花形事業」に育てるための資金源とする必要があります。収益が多いうえに投資を抑えられるため、企業の主な余剰資金源になります。
●問題児
「問題児」では、「金のなる木」の余剰資金を早いうちに集中投資をして、シェア拡大により「花形事業」にするか、「負け犬」になるのを回避するために、早期撤退するかの判断が必要になります。
●負け犬
「負け犬」では、早期撤退か売却などの判断が必要になります。しかし、実際には以下のような撤退障壁のためになかなか撤退できない場合があります。
・多額の投資に対する償却ができていない場合
・労働組合など社内、あるいは顧客、仕入先、流通業者など社外からの反対がある場合
・撤退コストが非常に大きい場合
・名声や経営者のプライドを保全が優先された場合
●PPMの使い方
PPMを使う場合、一般的に各象限にそれぞれの事業規模を表す円を買いて、自社の事業の全体観を表します。この際、次の2点に注意が必要です。
■横軸のシェアの定義を明確にする
シェアには、売上ベースのものと、数量のベースのものがあります。また、全体の市場におけるシェアなのか、セグメント別のシェアなのか、チャネル別のシェアなのかでも数値が異なります。また、この場合のシェアは、相対シェアのことで、相対シェアは次のように定義されます。
・トップ企業の場合、2位企業に対する倍率
・2位以下の企業の場合、トップに対する倍率
■象限の区切りを明確にする
象限の区切りを数字で明確にしておく必要があります。(下の例では、縦軸の中央を10%、横軸の中央を1倍にしています。)
PPMの例(円の面積は、売上の規模を表す 横軸は対数目盛り)
●PPMと4つの戦略
■拡大戦略
主に問題児で利用する戦略です。
■維持戦略
主に金のなる木、花形産業で利用する戦略です。
■収穫戦略
金のなる木、問題児、負け犬で利用する戦略です。
■撤退戦略
問題児や負け犬で利用する戦略です。
●先発企業と後発企業のPPM上の推移の違い
事業は時を経るに従いPPM上を動いていきますが、先発企業と後発企業ではその代表的な動きが異なります。それを示したのが下の例になります。
●PPMの参考図書
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